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2023.04.17.

まっちゃん部長日記 part1

 日体大教授でもあり、スポーツライターとしても長く活躍された松瀬新部長のコラム「まっちゃん部長日記」を開設致しました。

 早速第一弾です。ぜひご覧ください。

 

まっちゃん部長日記 松瀬学

『勝つって良いもんだ。でも、これから』

 

 やっぱり勝つって良いもんだ。みんなが笑顔になる。いざ部長として迎えた日体大ラグビー部男子の初陣だった。関東大学春季大会。相手が、前年度の入れ替え戦で苦杯を喫した創部100周年の成蹊大学である。リベンジだ。8トライの猛攻を浴びせ、52-14での圧勝劇だった。

 ラグビーとは“縁”である。4月16日の日曜日。場所が、武蔵野市の成蹊大学けやきグラウンド。吉祥寺の駅前からバスに飛び乗り、成蹊学園前で降りた。ラグビー場はどこかな? そう迷っていたら、高齢の紳士から突然、声を掛けられた。「私もラグビー場に行きますから。ご一緒に」と。

 あとで分かるのだが、成蹊大学OBで紀伊国屋書店の会長兼社長の高井昌史さんだった。ラグマガに連載コラムを書かれている。一緒に成蹊大学の構内を歩く。大きな欅(けやき)の並木が風情を醸し出す。こちらが日体大ラグビー部の部長と知るや、冗談口調でぼそっとおっしゃった。「A(一部)とB(二部)はちがうねえ。天国と地獄だよ」と。

 日体大はその地獄に落ちたわけだ。この日雪辱に燃えた。今年度のチームスローガンが『Battle』である。相手に挑みかかる気概が見えた。キックオフ直後、頼みのナンバー8、テビタが足首を痛め、嫌な空気が漂ったけれど、FW戦で優位に立った。スクラムで押す。ラインアウトでボール奪取する。

 前半序盤、ラインアウトからのドライビングモールをごりごり押して、左中間に先制トライ。その後も、フッカー萩原一平選手(3年)がタテを突いて、つないでトライを重ねた。プロップの工藤隆誠選手(3年)、ロック逢坂侑大(2年)らもインゴールに飛び込み、前半で5トライをもぎとった。

  •  FWが接点、スクラムで前に出れば、バックスの走力も生きてくる。ゲームキャプテンを務めたSH小林峻也選手(4年)もテンポよくボールをさばき、スピーディーなオープン展開で大幅ゲインを重ねた。オフロードパスもよく決まった。フォロワーの位置取りがうまかった。

後半中盤までは個々のタックルも厳しく、成蹊大にゲイン突破をなかなか許さなかった。ウイング森屋堪太選手(4年)、ナイスラン! 途中交代で入った大橋興太郎選手(3年)、ナイスセービング!

 濃紺ヘッドキャップのロック岸祐融選手(3年)はよく走る。からだを張る。タックルもいい。フランカー長船鉄心選手(4年)もラグビーセンスが光った。

 終盤、日体大は足が止まった。フィットネス不足か、足をつる選手が相次いだ。ここは強度のある練習を続けるしかあるまい。後半の終盤にミスから2トライを献上した。

 けがで欠場した伊藤拓哉主将はウォーターボーイを務めた。試合後、笑顔だった。こう、漏らした。「まだまだ。点差が開いてから、気持ちが緩んだ」と。勝って反省できるのはラッキーである。これから、これから。

 うれしかったのは、1年生部員のコトバ。「早く先輩と一緒に試合がしたい」。この日の先輩たちはよほどカッコよく映ったのだろう。

 帰りは、吉祥寺駅まで、秋廣秀一新監督の車に乗せてもらった。BKコーチの湯浅直孝コーチも一緒だった。ポジティブな話題に終始した。僕は後部座席で何度も漏らした。「ありがとう」

勝利はチームをひとつにしてくれる。試合メンバーだけでなく、控え選手の貢献も大きい。仲間の勝利でもある。

部員のみなさん、成蹊大のみなさん、サンキュー! サンキュー! 今年度の目標がBリーグ優勝、そして一部復帰。さあ苦難の年のスタートだ。(松瀬学)    

 

 

 

成蹊大学戦スクラム
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