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2023.05.08.

まっちゃん部長日記 part5

松瀬部長のコラム「まっちゃん部長日記」part5を更新しました。

是非ご覧ください。

 

まっちゃん部長日記⑤

『ありがたいルーツ校の厳しいレッスン』

 

 ラグビー仲間はありがたいものです。長年、ライバルとして切磋琢磨してきた日本ラグビーのルーツ校、慶大が、あえて2部に落ちた日体大を、伝統ある慶応ラグビー祭に招待してくれました。7日、日吉の慶大ラグビー場。どしゃ降りの雨の中、日体大は5-38で敗れました。厳しいレッスンに感謝です。

 

 ノーサイド。僕は、スタンドにいた黒黄会(慶大蹴球部OB会)理事長の市瀬豊和さんにお礼をいいにいきました。かつて早慶戦では敵味方で戦ったことがあります。「がんばってください」とおっしゃった。

 「ぜひ、ぜひ、また、1部に上がっていただいて、お互いいい試合ができればいいと思います。僕らの時代はほんと、日体大に勝つのは大変でした。私は、その時代を知っていますから。そういう試合をまたやりましょう」

 

 『日本ラグビー蹴球発祥祈念碑』。ラグビー場の出入り口のそばにコンクリートの短い電柱のような白っぽい発祥碑が建っています。てっぺんには黒っぽいラグビー選手のモニュメントが載っています。

 誰なんでんしょう? 慶大ラグビー関係者に聞いても、みなさん、「?」と首をかしげます。ひょっとして、ラグビーを始めた英国のエリス少年でしょうか。いや、E.B.クラーク氏とともに日本にラグビーを持ち帰ったとされる慶大の田中銀之助さんでしょうか。

 

 それはともかく、試合です、試合。日体大は、相手に挑みかかる気概にあふれていました。キックオフ直後、敵陣深くスタンドオフ小田晴陽選手が持ち込みました。でも、最後にパスミス。スポーツに「たら・れば」はナンセンスです。でも、これが先制トライになっていれば…。

 

すみません。日体大はタックルがよかったのです。とくに自陣ゴール前、日体選手の集中力、抵抗力の気概は切れませんでした。前半はタテに突破されて1本、チャージから1本の2トライを許したものの、ディフェンスラインを崩されてのものではありませんでした。

 フランカーの楳原(うめはら)大志選手、ナイス・タックル! 長船(おさふね)鉄心選手、ナイス・ジャッカル! ナンバー8伊藤拓哉主将、ナイスファイト! 見ながら、そう心で声を発していました。

 

 後半は序盤に2トライを奪われましたが、後半18分、敵陣ゴール前のラインアウトからモールを押し込んで、ブライドサイドに持ち出し、ウイング片山悠希選手が左隅に飛び込みました。この日、唯一の日体のトライです。

 

 結局、トライ数は相手6本に対し、日体大は1本でした。でも、悲観的になる必要はありません。スクラム、ラインアウトのセットプレーはむしろ優勢でした。うれしいですね。ひたむきな日体のタックルにも目頭が熱くなりました。

 

 試合終盤、センターの斎藤弘毅選手が相手の猛タックルにもんどりうって倒れました。大丈夫か。自力で立ち上がってホッとしましたが、怪我がなければいいのですが。

 

 試合後、秋廣監督や湯浅コーチ、網野コーチ、渡邊コーチらに「お疲れ様でした」と声を掛けました。みんな、雨でびしょ濡れながら、選手たちの労をねぎらっていました。スタッフも選手も、ありがとうございます。

 

 テント下で、伊藤キャプテンと言葉を交わしました。「ナイス・ファイト!」といえば、主将は「手ごたえは感じました」と漏らしました。

 「伝統ある慶應義塾大学さんと前半は互角に渡り合えたんですけど、後半20分、積み重ねてきたものの差が出たのかなと思います。やはり、取らないといけないところで取りきれないと、このレベルの相手には勝てません」

 つまりは、詰めの甘さ、仕留める力でしょうか。伊藤主将は別れ際、こう強い口調で言葉を足しました。

 「これからです」

 

 そうです。勝負はこれからなのです。ルーツ校の慶応魂に触れ、日体プライドが頭をもたげてきたのです。(松瀬学)

日本ラグビー蹴球発祥祈念碑
vs慶應戦 スクラム
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