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2023.11.13.

まっちゃん部長日記part23 【日体大×東大】

「ブギウギのリズムで無傷の6連勝。日体大、入れ替え戦へ」

 

 急に冷え込んできました。冬空の下、関東対抗戦B(2部)グループの日体大ユニコーンズが、自慢の「ランニング・ラグビー」を展開しました。ガッツある東大に当たり勝ち、73-0の圧勝です。これで6戦全勝とし、2位以内を確定、A(1部)グループとの入れ替え戦出場を決めました。

 もうブギウギです。流行の『東京ブギウギ』ならぬ、”日体ブギウギ”です。スイングの効いた8ビートのリズムが聞こえてきそう攻めでした。合計11トライ。試合を見ながら、スタンドでひとり口ずさんでしました。

 

 ニッタイ・ブギウギ♪

    リズム、ウキウキ♪

      ココロ、ブギウギ、ワクワク♪

 

 3試合連続のゼロ封

 横浜・青葉台の日体大・健志台キャンパスのラグビー場です。陸上競技場では、全国の陸上大会がひらかれていました。サッカー場でも女子が試合をしています。キャンパス全体が若者の熱気に満ちていました。

 『パブ・ファイト』と『ディフェンス・ゼロ』が試合テーマでした。前者は、ラックで相手サポーターを激しく排除することです。つまり、接点で優位に立つことです。後者は、個々の猛タックルと組織だったディフェンスで相手をゼロ点に抑えること。

 試合後、秋廣秀一監督は円陣の中で開口一番、「いい試合でした」と言いました。

 「一番の収穫は、相手をゼロに抑えたことです。ゼロ作戦です。そしてパブ・ファイトで激しく行って、ブレイクダウンでは優位に戦えました。そこもよかったです」

 これで、3試合連続で相手をゼロ封しました。今季6戦中、4試合でゼロ封勝利です。何がいいって、1対1でしっかり低くタックルに行っているから、ディフェンスラインにアナが開かないのです。

 故障のナンバー8伊藤拓哉主将に代わり、ゲームキャプテンを務めたSH小林峻也・副将が説明してくれました。

 「ワン・オン・ワンで一人ひとりが勝てているので、二人目、三人目が入る必要がさほどなく、ディフェンスが整備しやすくなっています。相手アタックに余られるシチュエーションがないので、常に(相手マークが)合っている状態でディフェンスができています」

 両親もスタンドから応援してくれました。「両親の声援は?」と聞けば、小林副将は顔をくしゃくしゃにしました。

 「はい。うれしいです」

 

 ◆前半で6トライ、40得点の猛攻

 試合は開始直後、ラインアウトから右オープンに回し、FB大野莉駒選手がひとり飛ばし、WTB甲斐倖ノ助選手が右から回り込んで中央に先制トライしました。

 あえて、勝負のアヤをいえば、この後の数分間のゴール前ディフェンスでした。「東大、がんばれ~」との女性の声援を受け、緑色と黒色の縞模様の“スイカジャージ”の東大が怒とうの攻めを繰り返しました。でも、ここで日体ディフェンスは崩れませんでした。

 度重なるラックサイドの突進も低いタックルでつぶします。最後は、プロップ築城峻汰選手がグッドタイミングのジャッカルを仕掛け、相手反則をもぎ取りました。ターンオーバーです。窮地を脱しました。

 粘ったあとにはチャンスが来ます。スクラムでぐいぐい押します。前半14分、いつも元気なCTB小林勇太朗選手が得意のタテ突破から鋭いランで中央にトライしました。これまでのロックから、初めてナンバー8に入った1年生の岡部義大選手がキレキレの突進でトライと続きます。

 その後も3トライを加え、前半で6トライを奪取し、40-0と大量リードしました。

 地味ながらも、いぶし銀の輝きを放ったのが、猛タックルを連発したフランカー大竹智也選手です。172センチ、93キロ。「ナイス・タックル!」と声をかければ、「自分は相手より、ちっちゃいので」と語気を強めました。

 「相手より高くいったら負けるんで、相手より低くはいって、一発で仕留めるんです」

 

 ◆燃える闘魂、“コクトチコンビ”

 後半は序盤こそ、攻めあぐねましたが、中盤以降、ラニングラグビーが威力を発揮し、5トライを重ねました。

 うれしかったのは、ロック初先発の1年生の石塚翔真選手の奮闘です。184センチ、90キロ。国学院栃木高校出身の石塚選手も、岡部選手も、相手に挑みかかる気概に満ちています。“コクトチ魂”というのでしょうか、コクトチの紺色のヘッドキャップをかぶってのプレーでした。

 石塚選手は試合後、左ひざを氷パックでアイシング。「どうでした?」と聞けば、「久しぶりの試合だったんで」と漏らしました。

 「ちょっと緊張があって、プレーが硬かったですね。まだまだ、です。岡部が強いんで、ちょっとプレッシャーです。いや、刺激です」

 互いに切磋琢磨なのでしょう。では、その岡部選手は?と探せば、差し入れのどら焼きを持って歩いていました。

 「ナンバー8は?」と声をかければ、岡部選手は「楽しいですね」と笑顔です。

 「次の試合もチームとしてゼロに抑えられるように頑張りたいです。自分も、ひたむきに、80分間しっかり戦いたい」

 収穫は?

 「タッチラインからタッチラインまで、グラウンドの幅の70メートルをしっかり使って、バックス、フォワードが協力しながら、戦うことができたことです」

 

 ◆CTB小林勇太朗、勝利に貢献

  朗報をいえば、負傷復帰のトンガ人留学生のFWテビタ選手が途中交代でプレーしたことです。今季初出場です。190センチのからだを生かしてラインアウトで奮闘し、豪快の突進も見せました。

ところで、この試合の「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)は、鋭利するどいランプレーを連発したCTB小林勇太朗選手でした。POMの選手には、毎試合、渡邊徹コーチの母の手作りの「アンパンマンおにぎり」がもらえます。でかい顔は白いゴハンでつくられ、大きな赤い鼻が梅干し、黒い口がノリ、ピンクのほっぺはハムです。

 小林勇太朗選手は、試合中に鼻を強打し膨れていました。「アンパンマンのような鼻になっているんでけど」と笑います。

 「きょうは、自分の持ち味(タテ突破)で勝負することができたのかなと思います。昨季、(Bグループ)3位の東大さんにしっかりと戦えたというのは収穫ですね」

 

◆集中力と精度がポイント

あと、A(1部)復帰までのハードルはふたつです。まずは、11月26日(日)のグループ最終戦、明治学院大との全勝対決です。これまでと違い、相手フォワードは強いです。大一番となります。

秋廣監督は言いました。

「これからの試合、攻めのチャンスはそんなに多くありません。少ないチャンスをいかにものにするのか。集中力と精度がポイントだと思います」

この日、ウォーターボーイをつとめた伊藤拓哉主将は、こうです。

「パブ・ファイト、まだまだ物足りません。入れ替え戦に向けて、そこの強度であったり、精度であったり、もっともっと、向上していかないと厳しいゲームになっていきます」

これから、一番こわいのは慢心でしょう。それは、ない。寒さが厳しくなるにつれ、試合も厳しさを増していくのです。

(松瀬学)

 

【号外!牛乳提供】部員からの要望を受け、1115日(水)の朝食から牛乳(ウォーターサーバーでドリンクバー形式飲み放題)が提供されることになりました。部員のみなさん、牛乳飲んで、丈夫でたくましいからだをつくってください。

 

①〜⑪は渡邊祐子さん撮影 ⑫は筆者撮影

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