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まっちゃん部長日記 part2
松瀬学新部長のコラム「まっちゃん部長日記」part2を更新しました。
是非ご覧ください。
まっちゃん部長日記part2
『常にチャレンジャー! これで新年度2連勝、こいつは春から縁起がいいわえ』
朗報である。日曜日の午後、SNSのラインに日本体育大学ラグビー部の伊藤拓哉キャプテンの短いコメントがあがった。
「7s組優勝しました!!」
おっ。優勝したか。思わず、声をあげた。実はこの日、関東大学ラグビー連盟主催の『関東大学対抗戦Bグループ・セブンズ大会』が学習院大学で開催されていた。B(2部)だから、帝京大や早大、明大、慶大はいない。それでも、ひとつの大会で優勝したことには意義がある。
小生、学会の研究会のため、試合の会場にはいけなかった。でも、気にはなっていた。どれほど、このラインのコメントがうれしかったか。これで前週の成蹊大戦の勝利(〇52-14)につづき、2連勝である。とにもかくにも、勝つっていい。勝って反省できるのはラッキーだろう。
夕方、秋廣秀一監督の携帯に電話をかけた。呼び出し3度で出てきた。「おめでとう!」と声をかけた。「ちょっと、話を聞かせてよ。原稿にするから」と言えば、控えめな監督は「マジすか」と狼狽した。
「僕ではなく、学生に聞いてくださいよ。だって、僕より、学生のコメントを尊重したほうがいいですよ」
相変わらずだ。笑いながら話を聞けば、トーナメント制の大会で、日体大は初戦に成城大に48-7で圧勝し、続く試合で武蔵大にも21-7で快勝した。決勝戦は、今年度から同じ関東大学対抗戦Bグループで一緒になる明治学院大と対戦し、22-12で逆転勝利を収めていた。
昨年度の関東大学対抗戦Bグループの2位が明治学院大で、1位は成蹊大だった。Aグループ(1部)だった日体大は入れ替え戦で成蹊大に敗れ、Bグループ(2部)に転落していた。だから、今年度はBグループにおいて明治学院大が一番のライバルとなる見通しだ。その大学に勝っての優勝だった。
秋廣監督は言った。
「昨年度の結果でいうと、今年度は絶対、明治学院大に勝たないといけません。メンバーが違って、向こうのチーム力がどうなるかわかりませんけど、普通に考えれば、一番の相手は明治学院大になるんだろうなと思います」
ひと呼吸空けて、こう続けた。おのずと言葉に力がこもる。
「とても大きいんですよ。ここで(明治学院大に)勝ったのは」
決勝戦の様子を聞けば、日体大メンバーは当初、すこぶる硬くなっていたらしい。「プライドだったのでしょう」という。昨年度、Aグループ(1部)に所属していた意地だろう。誇りだ。このBグループ(2部)で負けるわけにはいかない。つまり、選手はがちがちに硬くなった。守りになったようだ。
先制トライを奪われた。目が覚めた。湯浅コーチの声が響く。
「コミュニケーションをとれ!」
本来の連携、そして挑みかかる気概を取り戻した。どうしたってチャレンジャー。ひとりひとりが相手と勝負し、ランニングラグビーが輝きを放った。とくに3年生のバックスの辰己一輝選手、4年生の森屋勘太選手の鋭いランが光った。22-12の逆転勝ちだった。
秋廣監督は言った。
「我々としては常に“チャレンジャー精神”でいかないといけない。今日、それを学んだのです。優勝しても、ワーッと大喜びするような感じではありませんでした。喜びは控えめ、“勝って兜の尾を締めよ”といった感じでした」
これで、先週の15人制の成蹊大戦(〇52-14)に続き、チームは2連勝となった。“こいつは春から縁起がいいわえ”ときたもんだ。チームは生き物だろう。新体制に変わり、チームは上昇気流に乗っている。
これも、試合メンバーだけではなく、部員全員のがんばりのおかげである。秋廣監督ほか湯浅コーチ、渡邊徹コーチら、スタッフの指導、加えて大学関係者、OB、保護者らの支援のおかげでもある。
「心機一転です」、そう秋廣監督は語気をつよめた。「我々はあくまでチャレンジャーなのです。我々がなぜここ(Bグループ)にいるんだって、ということにみんな気がついたと思います。プライドですよ。日体プライド。それが大事なんです」
ただ、くれぐれも“おごる”ことなかれ。慢心は敵だ。みんながチャレンジャー。どこにいたって、挑みかかる気概がなければ敵を凌駕することはできまい。
秋廣監督はラグビー協会の人のこんな小声が耳に入ってきた。「なんで、日体大がここにいるんだろう」と。
当然、昨年度は弱かったから、日体大はBに甘んじでいるのだろう。でも心機一転、チャレンジャーと化した日体大はこれまでとはひと味違うのだ。『Battle!』。ひたむきさを取り戻した伝統校の未来はきっと、明るいのである。(松瀬学)